野球を題材に選んでますが、それがメインのスポ根青春モノとはちょっと違います。中学生(1巻では入学前ですが)の少年が周囲の人たちや、社会、いろんなものに接するうえで、何を考え、どんな風に感じているのか、そんな心の動きがすごく繊細に、そして野球に喩えて描かれてる作品だと感じました。
だから「現実にこんな子どもおらんやろー」とか「野球の実態はこんなもんじゃないやろ〜」というのは野暮なツッコミだと思うのです。
「原田巧はサッパリ理解できんなあ。こいつ嫌い」なら読後感悪いのも仕方ないなあ〜と思うのですが。万人が好きになるキャラじゃないですもんね。
私は原田巧というキャラクターがかなり魅力的に感じたし、彼の精神的な強さや正直な考え方にはすごく共感したし、憧れも感じたので、多分この作品が好きになったんだろうなあと思います。
私が女で作者も女性だから共感があったのかも?とは思いますが、あさのあつこさんの心理描写はほんとにすごいと、素直に思います。
私もこの年頃の頃は、周囲に反発しながらもソレにあわせてる自分が嫌で、人からどう思われようがこんなふうに自分をしっかり持って、強く堂々としていたいと思ってたことを懐かしく思い出したりしてして。
いつの間にか鈍感になっていろんなことを「まいっか」ですましてしまう大人にとって、「は!」とする言葉がいろいろありましたよ。
心が繊細で敏感だからなのか、強さの裏の巧の不安や脆さもうまく表現してるよなあと思いました。
わが道を行く!で周囲の人々にいろんな影響を与えてる巧ですが、挫折や人の優しさを知ったときは彼自身は変化するのかなあ、なんて思ったりして。
続きもちまちま読みたいと思いますが、とりあえず印象に残った言葉とかを忘れないうちに引用してみます。
覚えのある身にはちょっとグサリとくる巧の言葉とか。
「おばさん、野球って、させてもらうもんじゃなくて、するもんですよ」
「母親って、みんな同じことを言うんだ。同じことを言って、子どもを守ったつもりになってる」
とりあえず弟の青波は何者??というかこの話のなかでは最強みたいな印象とか。
「兄ちゃん、心のこと考えたほうが野球、強くなるんで、きっと」
「ぼくな、兄ちゃん、兄ちゃんみたいになりたいんじゃのうてな、野球がしたいんじゃ、それだけ」
で、最後に一番好きな台詞として1位になったとサイトにかかれてた巧のこの台詞は私もいいなあと思いました。
「そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。子どもだとか小学生だとか中学生だとか、関係ないこと全部すてて、おれの球だけを見ろよ。」
「子どもだから」で適当に相手しても、そういうのばれちゃうんですよね。
この文庫本を読んであんまり共感できなかったのは、「解説」かも。
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